創業から110年以上、5代に渡り受け継がれてきた茅ヶ崎の文化の象徴とも言える、茅ヶ崎館。20代でその当主を引き継いだ森さんが、より多くの人に茅ヶ崎館を知ってほしいとお客様に喜んで頂けるようなリノベーションを始めたのが2008年頃。
ちょうどそのころ、茅ヶ崎市内のまちづくりNPOの活動を通じて三物建設・西村誠と出会います。夜も茅ヶ崎館の庭を楽しんでもらいたいと思っていた森さんに、西村がライトアップのご提案をさせて頂いたことがお付き合いの始まりでした。

その後はお仕事以外でも、「茅ヶ崎の文化景観を育む会」でご一緒するようになり、西村にとって森さんとのお仕事が、地域の文化財を守っていこう、守る活動ができる立場にある、と認識するきっかけとなりました。



地域にある歴史的な建物については、その時代背景や所有者、その文化的価値など、知れば知るほどその重要性がわかってきます。
西村を研究熱心だと認めて下さる森さん、大切なものを大切であると価値観を共有できる方にそう言って頂けるのはとても嬉しいことです。
森さん自身、茅ヶ崎館という永遠に残さなければならないものを預かっている立場であるという認識で日々を過ごし、また次世代へ引き継いでいくことを意識しながら試行錯誤しているそう。これからもいかに茅ヶ崎館を次の時代に引き継ぐかを考え、ご一緒していきたいと思っています。

庭のライトアップから始まった、森さんの想いを一つずつカタチにしていく作業。茅ヶ崎館を訪れるお客様が喜んで下さっただけでなく、森さんのご両親、そしてスタッフの方の意識やモチベーションまでも変わったといいます。環境が変わると意識が変わっていくということでしょうか。
少しずつ、創業当時のオリジナルな茅ヶ崎館に戻していきたいという森さんの想いに、コスト面含め実現可能な方法を模索し、三物建設も少しずつではありながらもお応えしていきたいと思っています。




初めて訪れても、なんとなく懐かしさを感じる場所、茅ヶ崎館。それは建物だけではなく、森さんをはじめ、女将、スタッフの方たちの自然なおもてなしのなせる技なのかもしれません。
脈々と受け継がれてきたその文化こそが、かの小津安二郎監督にも愛された所以なのでしょう。特別ではない、もっともっと普段使いの場所として宿泊やお食事に多くの方に利用して頂き、茅ヶ崎館の空気を体感していただきたいと思います。