2022年12月1日
MOKICHI KAMAKURA(鎌倉市)
写真見てもよくわからないと思いますので、是非レストランにいらしてください。それから復習的にこのHPをご覧になることをお勧めします。本当にどスケルトンから工事を始めたその記録です。
2015年に香川のMOKICHI CAFEの移築を施工させて頂いた長年のご縁で、お話を頂きました。鎌倉にある、旧神奈川県水道ポンプ所をレストランにリノベーションするという仕事です。長年御用邸まで水を運ぶ施設として、その後は、鎌倉市の体育館としてあった建物を茅ヶ崎の熊澤酒造さんが、レストランとして改装するというプロジェクトです。
社長とデザイナーさんはいつも二人三脚で各店舗を手掛けています。その感じは少なからずつかんでいるので、使えるものは手直ししてでもなるべく使い、新材は使わずなるべく古材を利用して、内装をつくるわけですが、今までの使用用途にないレストランですので、ライフライン(換気・空調・給排水・雨水・電気)のプランニングが肝となります。いつもこのような工事は終わってから、よくやったなーと思うのですが、やはりゼネコン時代、地下鉄やら高層ビルやら、地図にない仕事をやってきた経験が役に立ってるのでしょうかね。
- 残土が堆積してる現場でした。ガラスは各所割れ、コーキングも機能していなくて、樋は全て破損、タイルから内部へ漏水も見られました。
- 2階裏口廻りです。鉄骨は錆び照明はつかず、鉄扉も腐っているような状況でした。
- 残土がうずたかく積んであるそんな現場でした。
- ガラスは割れ、鉄扉はひしゃげて、外壁コンクリート部分はピンクに塗られてました。
- 2階は管理人さんの部屋がありました。天井からはあちこち漏水、照明は全滅床のタイルはところどころ浮いてました。
- 置いてある古材は、鎌倉の橋爪邸というお宅を解体した材と聞いてます。これを各所に使いリノベーション予定でした。
- さー1年がかりの工事を始めましょうか。完了後の写真と比較してみてみてください。
- まずは解体工事からです。要らない部分を壊して、資材置場(橋爪邸)をつくるところから始めました
- 大空間の内装に邪魔なのでとりあえず、このような保管場所を制作しました。仮設工事も重要な要素となってきます。
- まずは設定地盤を決めてしまいたいのと、周辺環境の確認ンのために、残土だしから始めます。
- 浸透桝をいくら使っても、粘土質の層の為、新党しないことが予想されたので、横引き配管も浸透できるような配管を使用しました。
- 木造だと思われていた、この建物。解体するとブロック造で、途中で計画変更しました。最終枡の高さから逆算して、中の排水勾配を決めるのが非常に難しかったです。
- 直せるものは直して使いましょう。せっかくのオリジナルですから
- 鉄扉は腐り、鍵は使用できず、手摺端部の埋込は錆で爆裂。あきらめずに地道に直してみます。
- 足場組んで点検してみると、あちこちモルタルは浮き、漏水はあり、ここから斫ったり塗ったり。かなりイレギュラーな工事を余儀なくされました。いろんな職人さんに助けてもらいました。
- 屋上に材木をあげて、経年変化させるためにレッカーを呼びました。敷地ギリギリ、運転手さんうまいものです。
- 床面積がかなりあるので、さすがに古材でそろうわけもなく、ただ新材をそのまま張りたいわけでもないので、数か月前に搬入して、屋上において、特殊な塗料を塗って経年劣化を促しました。
- 石・木・鉄・タイルはこの建物のキーアイテム構造的にも、ビジュアル的にもカッコよくなるように、施工図、納まり図を書いて現場をおさめました。先に、エアコンを吊っておきました。
- 排水・給気・電気・U字溝の高さを計画して、コンクリート土間に収まるように配置しました。この高さ調整がこの現場一番難しかったかもしれません。
- 照明は空間ができてから、後で考えたいというオーナー様。さすがに重いものはそうはいかないので、高所作業車で床施工間に、吊るして高さと位置と配置を確認していただきました。
- この写真でまだ半分って感じですね。ドリンクエリアも何もないし、床も組んでいない、ただこの照明が吊られただけで感無量です。クリスタルなんです。この照明
- 床が組まれると1tのピザ窯は運べません。フォークを現場に入れて、もう動かさない位置にピザ窯をセットします。
- 当初計画は、パーチクルの置床に、15㎜の板張りでした。ところが、ウッドショックで待てど暮らせど、パーチクルが入らないことがわかり、床板を30㎜にして、大引きの上に直接敷く方式にしました。
- いい色の床材になってました。大空間の床張です。
- 古材を使うのは一番最後、この材料運びと、置き場所がこの現場の肝だったかもしれません。早く使いたい。(笑)
- デザイナーさんが絵を描いて、私が施工図化して、現場で施工する。ぴたりと合うと会館です。逃げをいくつみるか、それが経験なんだと思います。
- 今回この可動間仕切りが結構肝だったりします。現調して逃げを考えて図面を起こし、反りや垂れに耐える材料を鉄骨屋さんと相談して納めました、
- 橋爪邸の木製建具を組み合わせて、可動間仕切りにするということで、こういう作業が得意な大工さんにお願いしました。使う前に、洗ったり余計な金具を外したり、そんな細かい作業もありました。
- 叩いて、伸ばして、パテかけて、きっちり錆止めいれて、そして、堀金物の真鍮の握り玉を入れて、見事蘇りました。裏口
- もともと、開き戸だったこの扉、この扉も叩いて、補強溶接して、塗り直し、そして自動ドアにつって、オリジナルの扉を再利用しました。
- 割れているガラスは交換して、鉄骨枠にうまくはめて、橋爪邸の建具を可動間仕切りにしてくれました。ガラスコーキングがてかてかなので、特殊な工法で、昔風のコーキングにしてもらいました。
- 鉄骨ブースにベニヤの間仕切り、床は現場打ちの人研ぎ、ライニングを反対側にだして空間を最小限に収めました。
- 鏡枠はオーナー様のものに鏡を現場施工、照明は壊れたり部品がないものを、直したり作ったりして、感じを合わせました。
- 吉村順三が設計した住宅についているある洗面の1面鏡のデザインを再現してほしいと言われ、なんとか納まりを考えて、納めました。壁が平らでなくて。歪みなく鏡を張るのがとっても難しかったです。
- ただのガラスを入れるより、ガラスブロックの方が空間つくれますね。勉強になりました。
- 鉄骨は存在をけすように、白。扉はチーク色でぬりました。空間に扉が映えますね。
- 机も全部現場で制作しました。引き渡し前の清掃までやっときました。
- 直せば使えるものです。だからリフォームは好きです。壊せば簡単なんですけどね。面倒くさいのが好物です。
- 外構も終わりライトアップしてみました。
- 残土だらけだった場所とは思えません。石畳のいい感じのアウトデッキができました。
- 山側はキッチン関係のライフラインの配管が沢山になりました。
- 1年前から見たらこんな空間になるとだれが予想できたでしょうか?デザイナーさんとオーナー様には想像できていたんでしょうね。それを具現化できて感無量です。
- この建物でレストランウェディングができるようです。ひそかな夢は娘がここから現れてくること。昭和9年建築の建物を令和に時代に親父が、施工したその場所で、結婚式を見る。そんなシチュエーションがくるでしょうか
- もともと階段が人研ぎだったので、タイル張りとかも計画があったのですが、実は人研ぎにさせて頂きました。オリジナルをどうしても再現したなってしまい。。。
- エレガントな空間を目指しました。自然の緑がよく見える実は一番いい席はここかもしれません。
- 左の袖壁、最初の写真見比べてください。実は、途中つないだり作ったりしてるのです。それにタイルも全部はありませんでした。左官屋さんが、タイル柄を再現し、補修屋さんが、色合わせで作った袖壁。みんな職人技です。